人工授精が妊娠の壁になってしまうことも。

先ほどステップアップの第二段階としてお話しした人工授精について、もう少し詳しく解説してみたいと思います。

人工授精の歴史は古く、1799年にイギリスで最初に妊娠が報告されて以来、世界的に広まり、日本でも1949年にはじめての人工授精による赤ちゃんが誕生しました。

今ではポピュラーになった治療法ですが、それでも私のもとには

「人工授精をすすめられて悩んでいます」とか、

ベジママ Amazonを買ったばかりなのに、今度人工授精をしましょうといわれました。私の体はそんなに悪いのでしょうか?」

などといったメールでの相談が届きます。

人工授精をネガティブにとらえている人が多いのです。

それはなぜか……。

私は人工授精には、3つの「不妊の壁」が存在していると思うのです。

※人工授精の3つの壁その1言葉がネガティブ。

ひとつ目は、「人工」という言葉そのものにネガティブな響きがあるということです。

この言葉に、妊娠という現象が極めて人為的に操作されてしまう妊娠というイメージを持ってしまう人は多いわけです。

人工授精とは端的にいえばパートナーの精液の一部を女性の子宮の中に注入することです。

人工授精の人工とはartificialという英語の訳なわけですが,もう少し柔らかい表現を用いたネーミングにすれば、誤ったイメージを持つことが避けれるのではないでしようか。

不妊治療のメインストリートは、「精子と卵子の距離を縮める」ということです。

まずタイミング法では、医師は卵胞チェックによりその日時を縮めようと努力します。

人工授精では、自然妊娠において精子が平均14㎝を泳いで卵子に到達しなければならない距離を、精子を直接子宮の中に注入することによって、平均すなわち半分に短縮するわけです。

また,まったく手を加えないそのままの精液を注入すると、感染などの危険があるため、さらにより妊娠率を高めるため、スイムアップ法、パーコール法などといった手技を用いて精子を濃縮、洗浄し、元気のいい精子を注入するという方法が一般的となっています。

※3スイムアップ法…運動能の高い精子を高濃度で回収する目的でおこなわれる精子洗浄濃縮法のひとつ。

遠心分離した濃い精子の液に培養液を注いで30分間静置し、上のほうに元気に泳いでくる精子を回収する方法。

※4パーコール法…試験管に少しずつ密度の異なるパーコールという液体を積み重ね、そこに精液を加え,遠心分離する。

肯定することにより,精子の濃度が高まり,運動能の高い精子が得られる。

しかし、パーコールそのものが、精子に対して毒性があるとの指摘もあり、問題視する医師もいる。