精索静脈瘤では、手術対策を受けることで精液所見が改善されるケースがある。

代表的な手術は「低位結紮術」というもので、鼠径部を1〜2㎝切開して、精索の中の精巣静脈のみを結んで結紮切断する。

精索には、このほかに精管や精管動静脈、精巣動脈、リンパ管などがあるが、これらは温存する。

数サイトある精巣静脈と精巣動脈の周囲に位置する細い静脈も顕微鏡を使って確実に結紮切断していく(しばって間を切って、再開通しないようにする)。

これにより逆流がなくなり、瘤は消失するこの方法は、鼠径管という部位よりも下の位置で切断して結ぶため「低位結紮術」と呼ぶ。

鼠径部よりも上位で同じように精索静脈の結紮切断をするのが「高位結紮術」である。

以前は4㎝ほどの皮膚切開が必要であったが、へその中を切開して腹腔鏡を用いて行う単孔式腹腔鏡下手術であれば、術後の傷も見えない手術が可能である。

精巣静脈は、精巣に近づくほど(下部ほど)分岐して数が増えるため、確実に精巣静脈を結紮するために高位結紮術を積極的に取り入れる医療施設もある。

対策効果は, いずれの方法でも同じだ。

「体にメスを入れる」と聞くと不安になるだろうか? 低位結紮術は全身麻酔または局所麻酔で行い、手術は1時間程度。

術後は3時間ほど安静にしたら、その日のうちに帰宅することもできる(日帰り手術)。

しばらくは陰嚢が腫れることもあるが、徐々に治まる。

仕事は事務職であれば翌日から可能,ただ運動は1週間ほど控えたほうがいい。

僕としては、日帰り手術よりも入院手術をお勧めする。

長い人生のうち、2日ほど多く時間を使うだけだ。

きちんと全身麻酔をかけて、手術後の経過をしっかりと確認してから帰っていただくのがいいと思っている。

さて、この手術の術前,術後の結果を調べたところ, 60 %の人で精液所見の改善が見られた。

手術を受けてから精液所見が改善するまでには、だいたい半年ほどかかる。

そのため、早く妊娠 出産を望むカップルは,手術よりも体外受精や顕微授精を選択することが多い。

しかし、精液所見が改善されれば、それらの対策成績も向上する。

体外受精·顕微授精と並行して精索静脈瘤の手術をするのは有効な対策といえるだろう。

手術により精子の状態が改善して、自然妊娠で子どもを授かった人も20 %以上いる。

また、精索静脈瘤患者で術前に高かった精子DNA断片化率が、術後253カ月という早期に低下することが最近わかってきた。

顕微授精で授精率が低かったり、流産のため子どもを授からなかった場合、精索静脈瘤の手術後に顕微授精の成功率が上昇するというデータもあり、ここのところ手術が急増している。

見た目の改善(精子数が増える、精子運動率が高くなる)よりもずっと早い時期(術後2カ月で)に、精子の質が改善するという点が重要だ。

陰嚢の左側に起こりやすく、痛みは要注意。

ぜひ自己チェックを!

一般的には自覚症状がない精索静脈瘤だが、瘤が大きくなってくると自分でも疑うことができる。

こんな症状があったら、ヴィトックスαなど市販サプリに頼らず、ぜひ泌尿科を受診して調べることをお勧めする。

陰囊の大きさや感触が左右で違う。

精索静脈瘤は陰囊の左側にできることが多い。

立ち上がり(これが肝心だ)’陰囊の皮膚がゆるんでだらんとした状態で(お風呂上がりがよい)左右の陰囊を比べ、その大きさや感触が違うときは要注意。

また、精索静脈瘤があると陰囊を触ったときにモコモコした感じがする。

左側にできやすいのは、左右の精巣で静脈が流れる方向が違うから。

右の精巣の静脈は下大静脈へと向かい、左は左腎静脈へと流れる。

静脈の逆流が起こりやすいのは左側だ。

·長時間、椅子に座っていると陰嚢が痛む。

精索静脈瘤があると、座ることで瘤が圧迫される。

すると、血流が悪くなってに痛みを感じることがある。

0脚を組み替えたときに痛みがある。

組んでいた脚の上下を替えたときに、左の精巣部分に痛みや違和感を覚えることがある。

この動作がきっかけで変化に気づき、受診する人が多い。